不思議な“キツネ”ちゃん



「大丈夫だよ」

そういってスグル君に微笑んだ。


正直な話、
まだ彼らに自分のコトを話せない。

そこまで信頼できない。

少しくらいなら話せるけど、
深くはまだ駄目。

私自身もやっと理解できるようになったのだ。

人に話すとなると混乱してしまう。


「そっか。なんかあったら言ってね」

私にこんなに優しい言葉をくれるスグル君。

でもたまに。

ほんとちょっとしたときに憂いた表情をする。

きっと彼にも、いや。

彼らにもいろんなコトがあるのだろう。



私はもし彼らが助けを求めたら。

手を差しのべるだろう。


でもそれじゃ、ただの傷の舐め合いだと思う。


傷の舐め合いならいつでもできる。


そうじゃなくて一歩、踏み出すように。


彼らを支えてあげたい。



そう、思えるのはきっと。

私も一歩踏み出そうとしている証拠だと思う。


彼らとの3年間を。


私は成長し合いながら過ごしたい。



「ほら朱里、食べろよ」

お兄ちゃんみたいなタク君も。

「たくさん食えよ~」

人の気持ちを汲んでくれるシンヤ君も。

「さっさと食わなきゃ、俺が食うぞ」

相手を思える優しいショー君も。

「朱里ちゃん、これ美味しいよ?」

人を和ませてくれるあー君も。

「朱里ちゃん、はい。箸持って」

心配りが上手なスグル君も。



今ここにはいない

『よかったわね』

私の話を聞いてくれるキツネの彼女も。






大切な私の友だち、なのだから。