『手懐けた』
まるで犬が何かの話をしているようだ。
もちろん犬ではなく彼らの話なのだが。
「まるでペットのように言うのね」
思ったことをそのまま伝える。
別に手懐けたのではない。
ただ単に一緒にいるだけだ。
彼らと本音で接しているわけでも、
媚びているわけでもない。
高校でだけ一緒にいる友達。
つまり『三年間限り』である。
「確かにあいつらはペットじゃねぇな」
やっと私を見てくれた啄くんの顔は
震えるくらい冷たい。
それはこんな話をしているからなのか、
それともこれが彼の本当なのか。
最初は一番馴染めそうだと、
仲良くできそうだと思った。
でも一緒にいるうちに、
ほんの少しだけど。
彼は私といる時に何かを我慢しているように思えてきた。
深夜くんが一歩近づいてから、
つまり私を疑った日から。
啄くんが私に冷たくなったのは。

