…バイクで行くのだろうか。
買い物もあるから徒歩の方が、
いいんだけど。
「ここにバイク置いてもいいか?」
「あ、うん。いいよ」
なんだ。
バイクじゃないのか。
啄くんの隣に並んで歩く。
話すことなんてないから必然的に無言。
でも変な事を言って気まずくなるよりは何倍もましだ。
スーパーは徒歩で五分。
近いから沈黙の時間も長くないはず。
「なあ」
沈黙を破ったのは不機嫌である啄くん。
私の事をあまり良く思ってない啄くんからは話しかけないと思ってた。
だから話しかけられた時、
思わず体が反応しかけた。
もちろん、抑えたけど。
「どうしたの?」
冷静な対応を心がける。
啄くんの顔を見るとまっすぐ前を向いている。
空耳だったのかな?
と思って口を開く前に啄くんが言葉を発した。
「どうやったんだ?」
話をしている相手は私なのに前を向いたまま。
そして脈絡もない言葉に、
動揺してしまう。
彼は何を言いたいのだろう。
本意を知りたくて啄くんの横顔を見る。
「どうやって他の奴らを、」
でも何故だろう。
彼の本意を知らないはずなのに。
聞きたくないって思うのは。
まるで私を拒絶する言葉が今にもこぼれそうなのは。
「手懐けたの?」