静雅の質問に答えるのだろうか。

噂によるとキツネにとってタブーは
"仮面"らしい。

だからもしかしたらこの質問も
してはいけないじゃないか?

「この仮面は"キツネ"が生まれてから
ずっとよ。だから自前なの」

キツネが生まれてから。

キツネは彼女ではなくて
彼女を隠すための仮面なのか?

「それって、」

「私が言えるのはこれくらいよ」

俺の言葉を遮ったキツネはこれ以上
自分の領域にはいるなと拒絶してる。

部屋の空気が少し重くなる。
別の話をしようと考えていると、





「そっか。可愛くないね」



……。

うん、まさかね。


キツネに対して静雅が失礼極まりない、
そんな言葉を放つなんて。

あり得ないよね。

「お、おい。タカ」

慎吾が耳元で焦ったような声で呼ぶ。

「静雅、どーすんだよ!?
キツネに可愛くねぇって言ったぞ!」

「慎吾。俺には何も聞こえてな、」

「現実逃避はやめろって!マジで」


慎吾の言葉で、キツネをみる。

キツネは静雅に顔を向けている。

静雅もキツネをみている。


変な空気が漂う中、
キツネが口を動かした。


「インパクトはあるでしょう?」