「どうする、帝」

どうする、か。

入院しても結果的には
苦しいだけだろうに。

苦しんで苦しんで、死ぬ。


私はまだ彼女に復讐もしてない。

まだ、あの学校を去れない。


だったら、返事は決まってるはずだ。

なのになんでこんなに戸惑うのだろう。


「帝、俺は入院して欲しい」

宏樹は苦しそうに言った。

「医者としてはな。
けどきっと入院したら苦しいだけで
終わる。だから俺個人としては、」


宏樹も悩んでる。

きっと今本当に苦しんでいるのは
宏樹かもしれない。

私は結局死ぬから諦めている。

でも医者として、友人として、
私を助けたいのだろう。

3ヶ月を病院で過ごさせて少しでも
余命を引き伸ばしてみるか、

残りを薬で苦しませず余命まで
人生を謳歌してもらうか。


アノヒトを亡くしてやっと前を見たのに
私までいなくなってしまえば。




苦しむのは残された者だ。

実際、私も苦しんだ。


「私は、」