私は貴方を抱きしめられない。


「えっと…選手表…選手表…」

器具倉庫について十分くらい選手表を探している。
なかなか見つからない…

もうすぐ大会があるから選手表がなければ…!

そう思い、無我夢中で探す。

「なにしてんの」

後ろから急に声をかけられて
私はビックリして飛び上がった。

「だ、誰?」

振り向くと私の知らない…
つまりバスケ部ではない男子生徒が器具倉庫に入ってきていた。

「質問してるのこっちだけど?」

なにこの人…こわい…
関わっちゃいけない人だ…

「せ、選手表を…っ…」

だめだ…こわくて声がでない

「なんだって?ちゃんと話せよ」

や、やだ…近づいてくる…!

私は器具倉庫のドアへ走った。

「おい逃げんなよ」

「逃げられると思うなよ」

次の瞬間ドアは閉まった。
私と、二人の男を中に残して。