私は貴方を抱きしめられない。


始業式がおわり、
二三年生はそのあとに部活がある。

私は男子バスケ部の器具倉庫に行って
鍵を開けてボールを体育館へ運ぶ。

マネージャーは雑用みたいなもので大変だけど、バスケをやってる君人が大好きで、この時間が毎日楽しみで仕方ない。

「花音、俺も手伝うよ」
ユニフォームに着替えて後ろから声をかけてきたのは君人。

「大丈夫だよ、持っていくだけだし…」
「いいの、二人の方が早いでしょ?」
そう言って持ってくれる君人。

優しくて温かくて…

大好き…。