「花音っ!」
「もー遅いよ!二年生になった初日に遅刻なんてあり得ないからね?」
「ごめんごめん!」

私たちは高校二年生になった。
そして十七回目の春を迎えた。

毎日のことで、
私たちは一緒に登校する。

私たちが付き合っていることを知らない同級生はいないくらいだった。

「ほら、花音いくぞ?」
「えっちょっ…!待って!」

遅れてきて走っていっちゃうとか、
自分勝手…っ!
私が足遅いの知ってるくせに…!

「はぁ…はぁ…きーくん待ってよーっ!もー私無理…っ!」
「んだよ…体力ねぇなぁ」

そういって笑いながら
腰を落として

「ほら、花音乗れよ」

という君人。

「え、いいよっ!恥ずかしいもん!」

拒否しようとしても、
「いいからっ!」と私をおんぶする。

「やだやだ!恥ずかしいってば!」
「はいはい、じゃぁ走るよ?」

私は君人と背中に顔を埋め、隠しながら学校へ行った。