私は貴方を抱きしめられない。



「あ…あっ…!!」

きーくんの手が…
怖い…

怖い…っ!!


「花音?」

私の名前を呼ばないで…
嫌だ…

きーくんは…君人は…

男の人だ…


「ぁ、ぁぁぁっ!
こ、来ないでっ!やだ!来ないで!」

「花音⁈どうしたんだよ急に!
落ち着けよ!」

そう言って君人は私に手を伸ばす。

「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

思いっきり叫んだ私を
君人は「大丈夫だよ」と言って抱きしめた。

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

私は思いっきりそれを拒んだ。

そうした君人さえも怖い。
わかってる。君人は私を落ち着かせようとしたことも。

でも。
ただ…ただ…
君人が…怖い…。

「花音?」

怖くて怖くて、
震えが出る。

「大丈夫。俺がついてるから
怖かったね。」

ちがう、怖いの
貴方も。君人も怖いよ…