都内の佐倉崎学園に通っている勇介は、電車で15分、そこから歩いて15分。計30分の道のりを歩いて行くのだ。

しかし、電車を降りて歩く道がなんとも険しい凸凹道、坂道、そしてトドメの階段。朝に歩くのには少し、いやかなり厳しい道だった。

一年間その道を歩いたものの、流石に慣れないようで、朝には必ず一回学校に行きたくなくなる。

「はー…しんどい。なんで俺がこんな道を歩かにゃならんのだ…」
「陸!おはよ!」

後ろから声を掛けたのは、一年のとき、同じクラスの柚木光希である。光希と書いて、みきと読むので、よく女子に間違えられる。それを言われるのを嫌う光希は、言われたら即背負い投げ。柔道部相手にやられたら殺される…!と言う本能で、みんな言わなくなった。

「おー柚じゃねーか。おはよ」

陸と柚は二人のあだ名である。入学当初、遊び心がある担任が付けたあだ名だ。

「今年はどうする?成績発表かクラス発表どっちから見る?」
「………」
「ど、どうしたの」
「…いや、去年みたいなのは困るなぁって……」
「あー…」

どうやら光希も気づいたようだ。



去年、入学式当日のことである。
佐倉崎学園では、入試の順位結果とクラス発表を同時に発表される。もちろん、それは新一年も同じだ。
勇介は、まず勉強して