「どうしたの?」




その声と同時に開けられたドア。
私が開けるより早く待ち切れなかった里美さんが私の横をすり抜けて中へ入って行く




里美さんがいるなんて思ってもみない友田がちょうどキッチンから顔だけ出してこっちを覗いている所だった。





里美さんの背中越しに友田の顔を見て、あぁ、やっぱり私この人が好きだったんだ。と再認識してしまった。






まったくこの期に及んでだけど……






「里美……」



「直樹!」




二人がお互いの名前を呼ぶのはほぼ同時だった。
彼女の姿を捕えた友田の目は見開かれ、これ以上ない程驚いた顔をしている


そんな事には目もくれず、まっすぐにその胸の中へと飛び込んで行く彼女の後姿を見送って、私はそっとドアを閉めた。