プルルウルルーっと数回。





『もしもし…?』




「わ、私、綾」



『液晶に出てるから分かってる。どうしたの?』






あからさまに警戒する声。





「う?うん。久しぶりね」



こんな時、人づきあいの場数を踏んでない私のスキル不足が露呈する。
本題にすぐ入っていいものか、雑談をしながらそれとなく本題に入った方がいいのか……








『そんな会話必要ないでしょ?何?何もないのに電話するほど良好な関係とは思ってないんだけど?』





ありがたいことに、電話の相手――美奈から本題に入るように振ってくれた。





「あ、うん。実は?」



『いるよ。お風呂入ってる。なに?いた方がいいの?いない方がいいの?』





実の名前が出ただけで、威嚇するような口調になる美奈。
きっと、自分にとって良い知らせではないと思っているんだろう。