「どちらへお越しですか?」



私が何も言わないので、その人はもう一度私に訪ねてきた。



笑顔がピクリとも動かないのが怖いんですけど……





「あの………3005号室のーー」


「友田様のお宅ですか?」




「はっ?えっ。あ、はい……そうです」





私が部屋番号を言っただけで、すぐにその部屋の主を言い当てたコンシェルジュ。



しかも、その瞬間

ホントに一瞬だけ、コンシェルジュの完璧な笑顔がピクリと動いた。





と言っても、眉が少し上がった位なんだけど……


そして、気のせいかもしれないけれど、私を見る目が不躾になったような……





スーっと視線が爪先から頭の上までをナゾル。



居心地が悪い