自宅から車で20分。



その建物は、拓けたこの辺でも一番目立つタワーマンション。


自動ドアをくぐり抜け、ホテルのようなエントランスに入ると『コンシェルジュ』の文字。




「こんにちは」


グレーの制服を来た、まるで本物のフロントマンのようなその人は、ニッコリと完璧な営業スマイルで私に挨拶をした。



「こ、こんにちは」





「どちらへご用でしょうか?」


低く伸びるその声は、悪いことをしているわけではないのに、何故かドキドキした。