この状態になると、講義どころではなく、もう、荷物をまとめて一刻も早く帰りたい。


横になりたい。


リュックに教科書を詰め、横に座る米山君、通称「ヨネ」に、出席カードを押し付ける。


「ヨーダ、サボりかよ~?」



小声で話すヨネに、


「いつものやつ。」


と返しながら、



みぞおちから込み上げる悪心に、軽くえづいてしまう。



「おい~大丈夫かよ?」


ヨネは、ゲロを吐かれても自分にはかからないように身をよじる。



「…ヨネちん。後は頼んだ。」



多分、僕の顔面は蒼白だろう。


あー。頭いてぇ。


もう、吐く。頭いてぇ。吐く。吐く。やべぇ。


ヨネが申し訳なさそうに、顔をのぞきこんでくる。


「講義の最後に小テストあるけど。。。」


「。。。。。。」

半ば浮きかけていた腰をおろし、階段教室の椅子にもたれ掛かる。



マジか~。



帰れないどころか、教室からも出られない。


つーか、もう、具合の悪さに机に突っ伏したまま動けない。


その時、くいっとTシャツを隣から引っ張られ、目だけで、そっちを振り返ると、サークルの後輩、苺 ちゃんがいた。