小気味のいい包丁の音がキッチンに鳴り響く。


大学に入学して、このマンションに引っ越して来てから、お湯を沸かす以外にキッチンを使ったことがあっただろうか。


。。。ないなぁ。



僕の食生活といえば、朝は食べない、昼は学食、夜は外食かレトルトかコンビニ。


典型的な大学生男子の生活。


加えて、あんまり食に興味が無いんだよなぁ。


すごく好きなものも、これといって嫌いなものもない。


行列に並んで何か食べたいとも思わないし、馴染みの店もない。


口に入れば何でもいい。


あ、これ、すごいダメな感じだな。


自分でも思うが、それでいいやと思っているところもある。


ベッドで寝返りを打ち、ちらっとキッチンを見やると苺ちゃんと目が合った。


(帰るなり、ベッドに寝かされたのだった。そりゃもう躊躇なく)


「もーちょっとで、できますよー。」


ニコッと微笑む彼女にどう返していいかわからず、曖昧に微笑んでみる。


でも、きっと引きつってる。


テレビの横で、ライトセーバーを構えるヨーダに問いかける。


こういう時、ジェダイの騎士ならどうするんだよ?


マニアのヨネならきっとこう答えるだろうな。


「陽太よ、フォースとともにあらんことを!



あー、もう、何考えてるんだろう。


そろそろ現実見ようぜ、陽太!!