いやいやいや。何言ってんだこの子。


ありえない展開に、嫌な汗が出てくる。


「そんな、悪いし。」



全力でかぶりを振って慌てる僕の手を、ぎゅっと握ると、



「今だってごはん食べてないじゃないですかぁ。」


「。。。えーと。食欲無くてですね!」


あ、年下相手に敬語になったよ。



「心配なんです。せんぱいのこと。」


大きな目が、僕をじっと見つめる。


すいません。すいません。やめてください!



また小さな痛みがじわじわと頭を締め付け始めた。


「迷惑ですか?」



彼女の声とかぶって耳鳴りが始まる。



「迷惑なんかじゃ、ないよ。」



動揺しまくる心と裏腹に、口から出てくる言葉の頼りなさ。



ピーーーーーーーー



「せ ん」



ピーーーーーーーー



「ぱい」



ピーーーーーーーー



「言っても」



ピーーーーーーーー



「いいですか?」


苺ちゃんが、泣きそうになりながら真っ赤な顔で問いかける。


いやです!と即答してしまいそうな自分を、耳鳴りが遮る。


ピーーーーーー ーー
ピーーーーーーーー


「…好きです。」


ピーーーーーーーー
ピーーーーーーーー
ピーーーーーー
ピーーーーーーーー!!!


あああ!

もう!


フラグ立ったぁ!


どうすんだ、これ。


ていうか、どうすんだ、俺!!