ピーーーーーーンと、高い音が講義をじゃましてくる。



いつもの耳障りな音。



何度聞いてもイライラする。


今日は、朝からの低気圧でヤバイとは思っていたけれど。



よりによって、単位を落としそうな授業中に起こらなくても。



早期対処だ!


と、カバンの中をまさぐっていると、薬を見つけるより先に第一波がやってきた。



首の付け根から、こめかみにかけての鋭い傷みと、大きくなるばかりの耳鳴り。


ズクン、ズクン、と脈に合わせて響く。



「…いってぇ」



顔をしかめながら、思わず声が漏れる。



処方されている鎮痛剤の倍量を、ペットボトルの炭酸で飲み込む。


僕は、いわゆる偏頭痛を高校生の頃から患っている。


大学受験のストレスから始まったそれは、年々頻度が増している。


ただの頭痛と思われがちだが、僕の場合は、講義室の室内灯のあかりですら、眩しさがダイレクトに痛みに響く。