……そういえば、一階に下りたあと右の突き当たりまで行ったら、階段で上へ行って、今度は左の突き当たりって言ってたような。

もしかして私、めっちゃ遠回りさせられるところだった……?




「授業開始まで、あと15秒。14、13、12、11……」




腕時計に視線を落とした彼は、時計の針に合わせてカウントダウンを始める。

……って、あと11秒!?




「ヤバッ……」




どんなに早く階段を駆け上がっても、絶対に間に合わない!!

それでもカウントダウンは止まらず、時は過ぎていく。




「5」

「……っ……ありがとうございました!!」


「4」













「ゼロ」




キーンコーンカーンコーン


彼のカウントダウンが終わるのと同時に、チャイムが鳴った。


……凄い。

時計の針、チャイムの時間に合わせてあるんだ。

なんてことを思いながら、階段を駆け上がる。




「なぁ、ちょっと」




その時、後ろからさっきの先輩の声がした。




「半沢ティーチャーはチャイムが鳴ってから職員室を出る。 慌てなくても、十分間に合うよ」