「……とまぁ、死んだことに気付いてないモノが浮遊霊と呼ばれ、その場に居着いてしまったモノが、地縛霊と呼ばれたりするわけです」
「サラッと流さないでくださいよぉ!!」
「いや、面倒だし……」
「ボソッと面倒とか言わないでください!!」
そりゃあ怖がりな私に話をするのは面倒だと思いますよ!!
いちいち話が止まってちゃ大変だと思いますとも!!
でも、怖いものは怖いんですってばぁ……。
「あー……南沢さん。 とりあえず、落ち着こうか」
「無理です無理です、絶対無理ですっ……!!」
「何かあったら守るし、今は何もないんだから落ち着け。 今は俺と二人、それでいいだろ」
「で、でもぉ……」
「だから、信じろって。 そんなんじゃ信頼し合ってるとは言えないぞ」
うぅ……確かに、その通り……。
今は、先輩と二人。 正直に言ってしまえば、まだ怖いけど……でも、『面倒』と言った先輩をこれ以上面倒にさせないために、とりあえずは、黙ろう。
怖くても、先輩を信じよう。
「……手、繋いでいれば平気?」
「……はい」
「よし、じゃあ続きな」
先輩の手をギュッと握り締め、次の言葉を待つ。
その時先輩は、私を見てふっと笑った。
それは多分、『大丈夫だよ』と言っているのと同じで……私を、守ってくれているとわかる。
だから私も、涙目のままだったけど、なんとか笑みを返した。
そして、先輩の話が再度始まる。



