「視えるんです」



『目』だけだ。

普通はあるはずの顔は無く、『目』だけがこちらを見つめている。




「……っと、ごめん。 怖いのは、イヤなんだよね」




多分、私の顔が真っ青になったのだろう。
それに気付いた先輩は、しまったという顔で携帯を引っ込めた。

……遅いです、先輩。
頭の中に、しっかりと焼き付いてしまいました……。




「……アレは浮遊霊の一種。
浮遊霊というのは、死んだことに気付いていないとか……まぁそういうのであちこち飛び回ってるんだ。 今見せたアレは、そこら中に居る中の一体。
まぁ、普通のとは少し違う感じのヤツだけど」

「そこら中っ……!? 今ここにも、何かが居るんですかっ……!?」

「……それはまぁ、今は置いといて」




置いておけませんよっ……!!
害はないとしても、向こうからは見られてるってことでしょう!?

そんなの、怖すぎますから……!!