「視えるんです」



………

……




それからどれくらい経っただろうか。

目が覚めた時、まず初めに感じたのは薬品のにおい。
それから、目に入ったのはクリーム色のカーテン。

ここは……保健室だろうか。
もしくは、病院……?




「よぉ南沢、目ぇ覚めたか」




気怠そうな声が、ベッドの横から聞こえる。




「……ホンモノ、ですか?」

「俺が本物かどうかを聞いてるのか? それとも、それ以外のモノか?」




ぼんやりとしながらも、先生の声に返事をする。

両方です。と。




「俺は本物。 それ以外は、悪い夢だ」

「……夢?」

「そう思ってた方が、気持ちは楽だろう?」




……そう思ってた方が、って。

その言い方は、まるっきり肯定してるじゃないですか。


私が見たのはホンモノで、首を絞められたのも本当で、先輩に助けられたのも、全て本当のこと。
そういう意味になる。




「……先輩は、今どこに?」

「死んだよ」

「え……?」


「お前を助けるために、死んだんだ」




先輩が、死んだ……?




「残念ながら、お前もこれから死ぬんだがな」




その声とともに、先生の手が、私の首に伸ばされる。




「もう“私”を邪魔するものは居ない」




あぁ、そうか。

悪夢はまだ、続いてる……ーー。












「半沢ティーチャー、勝手に俺を殺さないでください」








ーー……え?