…… この先輩、めちゃくちゃカッコイイのだ。
と言うか、『私のタイプのど真ん中』だったのだ。
サラサラの黒髪。 そしてよく似合っている黒縁のメガネ。 そしてそして、ザ・クール。
目、鼻、口……顔の重要なパーツ全てが整っていて、まるで芸能人。
きっと私じゃなくても、女の子ならみんなドキッとしてしまうだろう。
それに何よりも私は、『メガネ男子』が大好きなのだ。
今まで好きになった人はみんなメガネをかけていたという、根っからのメガネ好き。
その中でも、今目の前に居る彼は……まさに、ど真ん中だ。
「音楽室に、行きたいんだ?」
「あっ、はいっ……!!」
……っと、まずいまずい。
見とれてる場合じゃなかった。
授業開始まで、残された時間はあと少ししかない。
「音楽室は、下、右、突き当たりを上へ。 そこから左の突き当たりまで行ったところ」
「え? あ……ありがとう、ございます……」
と、返事をしたものの……なんだかよく、わからない。
えーっと、まずは階段で下へ。ってことかな?
そこから右へ……突き当たりになったら、また階段で上へ。かな。
えっと、それから……ーー、
「要するに、ここの上ってこと」
「ーー……へっ?」
「ここ、音楽室の真下だから」
「そ、そうなんですか!?」



