「視えるんです」



階段のところに居るのに、手だけは私の首もとで。

ゆっくりと、だけど確実にリボンを後ろへと引っ張っていく。


あぁ、私は、

来てしまったんだ。


一人になるなと言われていたのに、

『一人だ』と思ってしまった為に。


先輩が見ている世界に、

踏み込んではいけない域に、入り込んでしまったんだ。





そして。



首もとのリボンが、

後ろへと、一気に引かれる。