それに対する返事はとても早くて、とてもシンプルだった。
「怖くはないよ」
怖く、ない。
そっか……先輩は、怖くないんだ。
「先輩は、強いんですね。
私なんて、見えないくせに一人で怖がって、騒いで……先輩からすれば、馬鹿っぽく見えますよね」
「いや、そんなことは」
「いいんです、わかってますから。
自分でも馬鹿だって思うんです。 一人で怖がって何やってんだろうって、感じてるんです。
でも、どうすることも出来ないくらい……怖いんです」
私も、先輩みたいに強かったらよかったのに。
もしくは……半沢先生みたいに、『怖い話が大好物』と言えるくらい平気だったらよかったのになぁ。
なんで私は、こんなにも怖がりなんだろう。
視えてる先輩は平気な顔してるのに、なんで私は、何も見えないくせにこんなに怖がってるんだろう。
隣を並んで歩いてるのに、とてつもなく距離があるような……そんな風に感じてしまう。
先輩の隣に居るのに、私は今、一人で居るような……そんな錯覚が……ーー。



