「視えるんです」



………

……




半沢先生と走り回り、本田先輩に宥められ、なんとか落ち着いた頃。

半沢先生が用意していたパンとお茶を置いた机を囲い、私たち3人は昼食を開始した。




「見るからに甘いですね……」

「本田は甘いの好きだろ? な?」

「いえ、嫌いです」

「そうだっけ? じゃあ食え」

「いや、どうしてそうなる」




と、すっかり半沢先生のペースになり。

クリームパンを無理矢理口に入れられた本田先輩は、涙目でお茶を口に含んだ。

……甘いの、苦手なんだ。
でもなんか、涙目の先輩って、ちょっと可愛いかも……。

なんて思っていたら、ジロリと鋭い視線が飛んできた。




「可愛いとか、考えないでください」

「か、考えてないですよっ!! やだなぁ先輩っ、あははっ……」




……なんでわかったの!?

やっぱりアレか、透視か!?

もしかしてこうしてる今も、私の心はバッチリ読まれちゃってる……!?




「透視とかじゃ、ないから」

「……っ……」




また、心を……!!




「南沢さんは、顔に出やすい」

「……あ」




なるほど。
私の顔に書いてあったということですね。




「……気をつけます」




ボソッと言った私に、ボソッと言い返す本田先輩。




「そう言いつつ、今もまだ可愛いとか思ってるだろ」




……はい、思っていました。

ごめんなさい。 本当にごめんなさい。


でも甘いパンを苦しそうにしながらも食べる本田先輩、本当に可愛いんですっ……!!