「視えるんです」



あ……翔先輩。

いつの間にか、音楽室のドアのところに翔先輩が居て私たちを見て笑っていた。

……いつから居たんだろう。
その顔は、結構前から居ました。的な顔だ……。




「こら本田、もう少しで500万が手に入るところだったのに邪魔すんなよ」

「生徒からお金を取ること自体間違ってますよ。
だいたい、3分あれば余裕で出来るものでしょう?」

「カップ麺かよ。フィルターなんて1分で出来るっつーに」

「1分で出来るカップ麺もありますけどね」




ニコッと笑った翔先輩は、私へと手を伸ばした。

ドキッとするほど、表情は柔らかい。

翔先輩って……出会った頃はクールな人だと思っていたけど。
でも、最近は笑うことが多くなった。気がする。

やっぱり、あれかな……力が無くなったから、気持ち的に楽になったのかな。




……あれ。

そういえば翔先輩は、もう力は無いのに……それでもフィルターを貼ることは、出来る……?