「一緒に来い」
「え? で、でも先輩の体はっ……!? 雨宮さんが、居なくなってしまったみたいでっ……!!」
「わかってる。 雨宮は、先に行っている」
「え?」
「雨宮が女を見つけた。 本田の体はここに居れば大丈夫だ」
雨宮さんが、鏡の女を?
でも、どうして突然……。
「雨宮のことは、あとで話す。 今は俺と来い」
「は、はいっ……」
先輩の体を丁寧に寝かせ、冷たい手を握り締める。
必ず、助けます。
必ず。必ず……。
強くそう思いながら、立ち上がる。
その間に先生は、翔先輩の手にお札を握らせ、窓ガラスとドアにも同じようなお札を貼りつけた。
「『抜け殻』は、さまよっている霊が入りやすい。
それを防ぐための結界だ」
「……なるほど」
「俺が作ったんだから破られることはない。 行くぞ」
「はいっ!!」
廊下は走らない。なんて決まり事は完全無視で、先生は走り出す。
翔先輩の姿をチラリと見たあと、私も先生のあとを追って走り出した。



