どうしよう。
不安で、また涙が溢れ出す。
……あれからもう30分以上経つ。
先生はここに戻っては来ない。 多分、戻らずに女の行方を追っているんだろう。
私は結局、先生が先輩を見つけてくれるのを待っているだけ……。
何も、出来ないんだ。
「南沢」
ポロポロとこぼれ落ちる涙を、雨宮さんが優しく拭う。
そういえば、前にもこんな光景が……。
「……本田なら、お前の涙を拭えるんだよな」
温かい手が、そっと私の顎を引き上げる。
そしてそのまま……雨宮さんは私の唇に自分の唇を重ねた。
「お前のコト、結構好きだった」
すぐ近くで放たれた、その言葉の後。
翔先輩の体が力無く私にもたれ掛かり、最初の時と同じように、氷のように冷たくなる。
「雨宮さん……?」
そう呼びかけても、雨宮さんが返事をすることはなかった。



