「視えるんです」





「南沢ッ!!」

「イヤッ……先輩……翔先輩ッ……!!」

「落ち着け、南沢ッ!!」




先生の怒号と、私の泣きじゃくった声が飛び交う。




「離してッ……先輩が、翔先輩が……!!」

「いいから、落ち着け」

「うっ……ううっ……」




先生の腕は、私を掴んで離さない。
落ち着け。と何度も繰り返し、私を宥め、優しい声で言った。






「本田の体はここにある。 まだ、大丈夫だ」

「……え……?」




そう言われて、先生の横を見る。


……そこには、意識を失った本田先輩が倒れていた。
慌てて体を揺すっても、どんなに声をかけても反応はない。

まるで、死んでしまったかのようにその体は冷たい。




「先輩……目を、覚まして……」




ボロボロと涙がこぼれ、先輩の頬に落ちたけど。
先輩が目を開くことは、ない。




「本田の精神は今、ヤツに捕らえられている。
時間が経てば経つほど、本田はヤツに力を奪われ、そして死ぬ」

「そん、な……」

「大丈夫、その前に本田を体に戻す。
まだ大丈夫だ。 本田は死なない。 アイツは強い男だ、絶対に大丈夫だ」




まるで自分に『大丈夫だ』と言い聞かせているかのように、先生は何度も言う。

本田は大丈夫だ。と。
絶対に大丈夫だ。と。

そして、そばに居た雨宮さんを見た。




「本田の体に入れ、雨宮」