「視えるんです」



誰よりも早く異変に気付き、誰よりも早くかけつけてくれた雨宮さん。

その手に、自分の手を重ね……ようとしたけれど。




「……っ……」




私の手は、なんとも呆気なく、スルリと雨宮さんを通り抜けた。

そうだ、私は……私は先生や先輩のように、幽霊に触れることは出来ない。


鏡の女には掴まれているのに、雨宮さんの手を握ることは、出来ない……。


私は、無力だ。


助けようと手を伸ばしてくれた雨宮さんに触れることは出来ず、
このまま、引きずり込まれる。


そう。

足手まといというのは、こういうことなのだ。


いざという時、自分じゃ何も出来ない。
助けられるだけの、存在。




ーー『このまま一緒に居たら、お前は死ぬ』




……あの時の雨宮さんの言葉に、ちゃんと従っていればよかったんだ。

一緒に居たから、私は死ぬ。

自業自得、ってやつなのかな……。




ーー『近づけば死ぬ。 お前だけじゃなくて、本田もな』




……先輩。


翔先輩。




私の分まで、生きてください。