「あった」
自分の机の横にかけていた鞄を手に取り、ふっと息を吐く。
それから、ドアのところで待つみんなの元へ、戻ろうとした時……。
ふと。
本当に、なんとなくだったけど。
なんとなく気になって、鏡になっていた窓ガラスを見た。
面倒くさそうな顔で教室内の時計を見上げる半沢先生。
いつもと同じように、腕時計に視線を向ける翔先輩。
そして、『あっ』という顔の雨宮さん。
何故そんな顔をしたのか。
何故、雨宮さんが飛び上がって私のところに来ようとしたのか。
その理由は、すぐにわかった。
「え……?」
鏡の中の私と、目が合う。
それだけなら、ごく普通の、当たり前のことだ。
でも……
「南沢ッ……!!」
叫ぶ雨宮さんの手が私に伸ばされた時、
鏡の中の『私』が、ニタァ……と不気味に笑った。



