「視えるんです」



先生が居ることに少し驚き、そのあとに笑う。




「無事、完了したよ」




と言って頬を掻いた。が……右の手の甲から、血が出てる。

それは、猫に引っかかれたかのような痕……。




「相当手こずったらしいな」




ニヤリ、半沢先生が笑う。




「俺は先生みたいに叩けませんから。
それに、人とは違うものの相手は初めてなので」

「で、やられたわけか。 だが、無事に送ったんだろう?」

「はい」

「そうか。 よくやった」




ゆっくりと立ち上がった先生は、翔先輩の髪を優しく撫でた。
どこか、嬉しそうな顔で。




「なんですか、突然」

「いやー、お前が『上』へ送れるようになると、俺は楽出来るじゃん?
でー、報酬はガッポリ入る!! いやー、最高だねー」

「……その場合は、ちゃんとバイト代いただきますから」

「おう、1時間1円な」

「……割に合わない仕事ですね」

「はははっ」




呆れ顔の先輩に対し、先生はやっぱり嬉しそうに笑ってる。

……先輩と息子さんの姿を、重ねてるんだ。
だからこそ、翔先輩が一人で成し遂げたことが、嬉しいんだ。

先輩は嫌がってるけど、先生は先輩の頭を撫で続けてる。

……本当の、親子みたい。

そんなことを思いながら、私はまた笑みを浮かべた。