「視えるんです」



………

……




階段を駆け下り、空き教室へ。

と、その途中のことだった。




「えっ……」

「あ」




踊り場にある鏡を、右手で触れている本田先輩。
私の姿に気付いたあとも、鏡には手を置いたままだ。




「な、何してるんですか先輩っ……!!」




そんなことをしたら、あの女がっ……!!

と、そう言おうとしたら、先輩は口元に左手の人差し指をあてた。
その動作はもちろん、『静かに』というものだ。




「少し、話をしてた」

「は、話って……」

「今は、大丈夫」




そう言ったあと、鏡からゆっくりと手を離した。

それから私に、『行こうか』と微笑んで歩き出す。

そのまま、先輩は何事もなかったかのように階段を下り、空き教室へ。
私もそれに続き、空き教室へと入った。




「校内の様子がおかしい。と、半沢ティーチャーが言っていたから、もしかしたら彼女かなと思ったんだけど。
彼女は無関係の平常運転。 まぁ、それはそれでどうかと思うけど」

「そう、なんですか……。
でもあんな風に喋ったりするのは、危険なんじゃ……」

「そうだね、危険かもしれない。
でも、関係があるかないかを知らないまま過ごしている方が、危険だから」