「視えるんです」



冗談!?

今の言葉、全部冗談だったの……!?




「さ、帰ろ。 家まで送るよ」




……なんで、何事も無かったかのように私の手を掴んで歩き出すんですか……。

今のやり取りは、いったいなんだったんですかっ……!!




「先輩って、なんなんですか……」




思わず、そう言ってしまった。
それに対する先輩の言葉は、シンプルだった。




「俺は俺だよ」




……って、全然答えになってないです。

なんでこういうことを冗談として言えるのか、それを聞きたかったんですけど……。


……あぁもう、いいや。
先輩は先輩。それでいいや。




「……私、そういう冗談は嫌いですから」




とりあえず、それを言おう。
弄ばれる感じがするのは、嫌いだ。

嫌い。だからもう二度としないでください。 と先輩に伝えると、先輩は小さな笑みを浮かべるだけで、言葉は無かった。




その後の私たちは、会話らしい会話は無く。

あっという間に家に着いてしまい、別れる時も、私は先輩に挨拶をすることなく家へと入った。

……なんだかもう、最悪だ。


最悪とわかっているのに、それを変えるすべが見つからない。




……結局私と本田先輩は、なんのやり取りもすることなく、その後の数日間を過ごすこととなる。