「視えるんです」



……残されたのは、いまだ動けない私。と、苛立ちの表情の雨宮さん。

こ、怖いです……。




「あの野郎を、いつか絶対ぶっ飛ばす」




冷たくて重い声と共に、雨宮さんは姿を消した。

……マジで怖いです。
先輩、絶対殴られそう……。 ていうか、私の体に入った雨宮さんが、私の体を使って殴りそう……。




「ぼ、暴力は、ダメですからねっ……!?」




もう姿のない雨宮さんには、私の声なんて聞こえてないだろうけど……それでも言葉を放ち、雨宮さんが聞いていることを願った。




「絶対、ダメですからねっ……」




そう言いながら鞄を持ち、先に行ってしまった先輩の後を追う。

空き教室から出ようとした時、中から声がした。




「またお前の体を使うぞ」




……そんな怖い言葉に背筋がゾクッとなりながら、私は急いで外に出た。