「視えるんです」


そんな中で雨宮さんは眉を寄せて舌打ちし、じろりと私に視線を向ける。




「お前の体を貸せ」




……ですよね、そう言うと思ってました。

苛立ってますもんね、わかります。

わかりますけどっ……!!




「絶対、体は貸せませんっ……!!」




どんな理由があろうとも、何度頼まれても、私の体は絶対に貸せない。
たとえ相手が雨宮さんだとしても、だ。

害はないとしても、絶対絶対、体を貸すことだけは無理だ。




「絶対貸しませんから、諦めてください!!」

「うるさい」

「え、ちょっ……雨宮さん!?」




ゾワッ と全身の毛が逆立ったと思ったら、急に胸の辺りが苦しくなる。
息が出来ないのに吐き気が襲い、グルグルと目が回り頭痛がする。

その直後、私の体が私のものじゃないような、そんな感じがして意識が遠くなる。

いや、意識が遠くなるというか。
自分の体をすぐ近くの別の場所で見ているかのような、妙な感じだ。


これは、私の体に、雨宮さんが……?



そう思った瞬間。
私じゃない私の体が、先輩の頭をバシッと勢いよく叩いた。