「視えるんです」



その時ふと、雨宮さんのことを思い出した。

雨宮さん、『名前は忘れた』って言ってたけど……本当に、そうなんだろうか?




「そういえば私、前に雨宮さんと話した時に、色々聞いたんですけど……」

「俺に電話してきた日?」

「そうですそうです、先輩が雨宮さんを飛ばしたあと、あの人すぐに戻ってきちゃって……その時に、少し話したんです」




本田のそばに居ない方がいい。 と言った雨宮さん。
結局私は、本田先輩のそばに来てしまったな……なんて思いながらも、今言おうとしてるのはそのことではない。





「雨宮さん、自分の名前を忘れたって言ったんです。
雨宮、というのは覚えてるけど、下の名前は忘れた、と。
それって、幽霊になってしまったから、自分の名前を忘れてしまったんでしょうか……?」