野球の魔法にかけられて。



「“なんで”って顔してる。」


口を開けたままぽかんとしているとそう言って笑われた。


「なんっ――」

『新入生の皆さんが入場します。拍手で迎えましょう。』


先生のアナウンスが聴こえ、あたしの言葉は遮られた。


「また後でな。」


そう言って歩き始めた君の後を小走りでついていった。