「でも、それからと言うもの、何かに付け水に纏わる事故に見舞われて…。」
胡散臭い…ジト目をしている私に、山内さんは力説する。
「や、マジで!俺だって信じなかったけど、笑える位毎度毎度水被って現れりゃ、いい加減信じる。こいつ絶対呪われてる。」
笑いながら北方准教授の背中をバシバシ叩く山内さんは、完全出来上がった状態でご機嫌。反対に北方准教授は泣き上戸か、机に突っ伏して泣いてる模様。
やめてくれよ二人とも。
酒はもっと理性的に飲んでくれよ。
「すいませーん。生二つと、鶏なんこつと、枝豆、あとじゃがバタ下さい。」
小柄な茶髪のバイト君を捕まえ、追加注文する。
ここの飲み代は北方准教授持ちとの事、遠慮なんかしてやるものか。女の子にたんこぶなんぞ拵えてくれて、ただで済むと思なよ。
「お待たせしました〜。」
山盛りの枝豆と、ジョッキを運ぶバイト君、まっていましたよ君を。
しかし、バイト君はやらかした。
何にも無いフロアで蹴躓いて…、手にしていたジョッキと枝豆は、綺麗な放物線を描き宙を舞った。
「あ。」
ばしゃっ。
頭からビールを流している北方准教授。
宙を舞うビールジョッキの着地点は、彼の頭だった。
「あーあ、言ったろ。これが水難、今回はちょっとアルコール臭いけどな。」
「命に関わる様な事故ではないので、着替えを持ち歩けばいいだけの話です。」
北方准教授は、前髪からビールを滴らせながら事もなげに言う。
その冷静さが怖いよ。
バイト君は可哀想な程小さくなって謝っている、それを押しのけベテランのバイトちゃんらしき女の子がタオルを持って駆け寄って来た。
「あー、女難も見れたりするかも?」
バイトちゃんが北方准教授にタオルを手渡し、別のタオルで准教授の服を拭こうとしている。
山内さんがケタケタ笑いながら枝豆を食べる横で、明らかに狼狽する北方准教授。
「すみません!大丈夫…じゃないですよね。あの、タオル使って下さい!」
「あぁ、はい、ありがとうございます。あの自分でやりますから…っ痛。」
わ〜、ビールは目に入ると痛いんだよね、半端なく。
「大丈夫ですか?」
思わず席を立とうとする私を、山内さんは押し戻す。
「お前はダメ、座ってろ。あの破壊力、近寄りすぎると危ない。」
…なに言ってんのこの人。
すると、バイトちゃんを避ける様にしながら瓶底眼鏡を外した北方准教授は…ビール塗れの、うっとおしい前髪を掻き上げた。
胡散臭い…ジト目をしている私に、山内さんは力説する。
「や、マジで!俺だって信じなかったけど、笑える位毎度毎度水被って現れりゃ、いい加減信じる。こいつ絶対呪われてる。」
笑いながら北方准教授の背中をバシバシ叩く山内さんは、完全出来上がった状態でご機嫌。反対に北方准教授は泣き上戸か、机に突っ伏して泣いてる模様。
やめてくれよ二人とも。
酒はもっと理性的に飲んでくれよ。
「すいませーん。生二つと、鶏なんこつと、枝豆、あとじゃがバタ下さい。」
小柄な茶髪のバイト君を捕まえ、追加注文する。
ここの飲み代は北方准教授持ちとの事、遠慮なんかしてやるものか。女の子にたんこぶなんぞ拵えてくれて、ただで済むと思なよ。
「お待たせしました〜。」
山盛りの枝豆と、ジョッキを運ぶバイト君、まっていましたよ君を。
しかし、バイト君はやらかした。
何にも無いフロアで蹴躓いて…、手にしていたジョッキと枝豆は、綺麗な放物線を描き宙を舞った。
「あ。」
ばしゃっ。
頭からビールを流している北方准教授。
宙を舞うビールジョッキの着地点は、彼の頭だった。
「あーあ、言ったろ。これが水難、今回はちょっとアルコール臭いけどな。」
「命に関わる様な事故ではないので、着替えを持ち歩けばいいだけの話です。」
北方准教授は、前髪からビールを滴らせながら事もなげに言う。
その冷静さが怖いよ。
バイト君は可哀想な程小さくなって謝っている、それを押しのけベテランのバイトちゃんらしき女の子がタオルを持って駆け寄って来た。
「あー、女難も見れたりするかも?」
バイトちゃんが北方准教授にタオルを手渡し、別のタオルで准教授の服を拭こうとしている。
山内さんがケタケタ笑いながら枝豆を食べる横で、明らかに狼狽する北方准教授。
「すみません!大丈夫…じゃないですよね。あの、タオル使って下さい!」
「あぁ、はい、ありがとうございます。あの自分でやりますから…っ痛。」
わ〜、ビールは目に入ると痛いんだよね、半端なく。
「大丈夫ですか?」
思わず席を立とうとする私を、山内さんは押し戻す。
「お前はダメ、座ってろ。あの破壊力、近寄りすぎると危ない。」
…なに言ってんのこの人。
すると、バイトちゃんを避ける様にしながら瓶底眼鏡を外した北方准教授は…ビール塗れの、うっとおしい前髪を掻き上げた。

