(あー、それはね....)


私が一連の事を話すと、律から明らかな動揺が伝わってきた。


(すぐ行く!!)


何故かそれだけ残して一方的に切れるテレパシー。


「まったく....」


私が呆れると、意味が全く分かってない男がハテナを頭に浮かべている。


「あー、今テレパシーで話してた友達が来るから」


それだけ言うと、男は「あ、そう」とだけ言った。


「ていうか名前なに?私言ったのに聞いてないんだけど」


無愛想な男に痺れを切らして少し強めに問う。

すると、


「影崎雪鬼(かげさき・ゆき)」


「へぇ~、雪鬼って呼んでいい?面倒だから」


「別に構わない。どうせ、明日から....」


雪鬼が何か言葉を言おうとした瞬間、ドアがバタンッと言って開いた。


「あ、律!」


扉を開けたのは私の親友の律だった。

ふわふわのショートヘアーが無造作になっている。


「・・・・! 雪鬼・・・・!」


私が声を掛けたのに、なぜか言葉を雪鬼に発した。


「お前か・・・」


雪鬼は呆れたように言葉を発する。

やっぱり、雪鬼の許嫁は律だと私は確信した。