三大家の当主事情

チャイムが鳴り、朝のHRが終わると、律が私たちの方を勢いよく振り向く。

私は呑気に家から持ってきた冷たいお茶を飲んでいる。

この暑さにぴったりの冷たい温度だ。


そんな私にお構いなく、雪鬼に熱い視線を投げかけている律。


「雪鬼！やっと一緒に生活できるね!!」


そして、熱い視線を送りながら言った言葉に私は驚いてお茶が器官に入った。


激しく咽込む私を、律は慌てながら私の背中をさすってくれる。


「ご、ごめん！その、変な誤解とかちゃった....!?」


いや、誤解っていうか、なんていうか....なにも知らなかったから突然言われたら驚いちゃって...。

ていうか、生活って何!?

同居？同棲!?

そんなことをぐるぐる考えて、頭が爆発しそうになったとき、雪鬼が冷たく言葉を発する。


「ただ学校通うだけだろ。ていうか、俺等がもっと『ナカヨク』なったら同居すんだろ？」


あ、また、『ヨロシク』の時と同じような、カタコトっていうか、馬鹿にしたような言い方。


なんでだろう？嫌な言葉じゃないのに。


「なんでそんな嫌な言い方なの？律にひどいこと言わないで」


私が言うと、雪鬼は嘲笑した。


「はっ？嫌な言い方にならない方が笑えるね。勝手に未来の相手決めて、俺を縛ってるっていうのにもっと命令するなんて最低だろ。俺は許嫁になる以外の命令は動かないつもりだったのに。アイツのせいで....」


「雪鬼!!」


律が大きな声で雪鬼の台詞を遮る。

この時、私の中に疑問点がいくつか浮かび上がった。


まず、この２人は私に『なにか隠し事』してるんじゃないか―――と。