三大家の当主事情


「影崎雪鬼だ。これからヨロシク」


よろしくを少しカタコトっぽく言う雪鬼。

あんまり言ったことないんだろう。


そして先生に促されるまま雪鬼は指定された席に着いた。

その隣は、誰もいない。


もともとクラスの人数は偶数だったから、隣が余ることは無かった。

だから、雪鬼用に新しく机が追加された。


窓際で一番後ろの席に座っている雪鬼の前の席に私が座っている。

律は私の斜め前で、三大家次期当主が立て続けに並んでる。


あ、そういえば『影崎家』の次期当主が雪鬼だなんてちゃんと聞いてないけど、

力が強いからたぶん次期当主。ていうか、純血だよね。


(ていうか、なんでこっちにきたんだろう)


その理由を知りたくてチラッと後ろを振り向くと、雪鬼と目が合った。


「なんだ」


また無表情に問われる。


「なんでここに来たのかは後で聞くけど、雪鬼って次期当主なんだよね?」


私達はみんなにそういう家系のことは秘密にしているから、誰にも聞こえないように結界を貼る。


「ああ、次期当主だ」


「じゃあ、純血なんだよね?」


「はぁ?」


私がそう訊くと、雪鬼は心底馬鹿にしたような顔をした。


そして、「お前馬鹿か」と口にして説明が始まった。


「俺は『影崎家』の人間と『雪鬼』から生まれたんだぞ?どこが純血だ。混血だろ。お前頭大丈夫か?」


毒舌を長々と言われ、傷つく。


そりゃ、勉強苦手だけどさ......!!

もっと言葉選んでくれたっていいじゃない....!!