「……せんぱいっ」



彼は、死にそうな目で私の家の前に座っていた



「麻衣……?」



「五十嵐先輩っ……なんで………」




その瞬間、香るシトラス




先輩に、抱きしめられていた



「先輩っ?」


「今まで、ごめん」


「……え?」




「俺、やっとほんとに大切なのが何か気づいた」



「せん、ぱい」



「好きだ、麻衣」






夢なら醒めないで欲しい





「全部、水月から聞いた……お前が、襲われたことも、俺を、ボコろうとしてたことも」



「なんでっ……」


「橘の婚約者が、水月を説得したみたいだ」


「あ……」



「辛い思いばっかさせてごめん……俺のせいで、死ぬほど苦しませた…………けど、俺にそんなこと言う資格ないかもだけど……頑張るから…………俺だけのになって」




秀君、






「俺、この間橘に告られて付き合っても…お前の事思い出すだけだった」


「でも…荒れなくなったじゃない」



「お前が離れてくのが怖かった……荒れたら、見てくれるって、お前が離れてかないって思ってた………けど、そんなことしたって虚しくなるだけで…だから、突き放した………麻衣が、俺じゃない奴と幸せになんかなれないって思いたかった……俺に泣きついて絶対離れてかないって思いたかった………麻衣の気持ち試して、……最悪だな、俺」




「だけど、あんたは強かったから…俺に泣きついてなんか来なかった……自分で離したのに、…………どうしようもなく虚しくなって、橘に告られて、投げやりに付き合って、お前と重ねて抱いたりもした」




「先輩……」



「名前で呼んでよ、麻衣……俺、お前の事…今度はちゃんと幸せにするから……世界で一番幸せにするから……俺のこと好きになって」







答えなんか、決まってる



「もう、とっくに好きだよ、バカ秀」