「これはこれは律お嬢様ではありませんか。
相変わらず噂に違わぬ美しさだ。」
始まりの挨拶を待っていると律が黒のスーツに白のストライプの入った男性に声をかけられた。
「ごきげんよう。
仙道様。最近のますますご活躍伺っておりますわ。」
口調がいつもと違ってなんだか新鮮だ。
そして、話しかけてきた男性を私は知っている。
正確に言うとこちらが一方的に知っているだ。
若き実業家、仙道 雅治(36歳)。
元々陸上選手であり、ケガにより引退。物怖じせず大物芸能人にも意見する芸風が受け、一世を風靡したらしい。
そのときはまだ私は幼かったため、認識していなかったからテレビ画面では見た記憶がない。
それもそのはず。
お酒に酔い暴力事件を起こしてしまい、私が小学校上がる頃には出演依頼はゼロ。
テレビ画面から姿を消してしまった。
テレビから干されてしまったその後は、陸上選手の経験からスポーツジムの経営を始め、妥協のない仕事への取り組みで、現在では全国チェーン展開するようにまでなった。

