「菊地さん。大変なときにこんなこと言いづらいのだけど、近所の方から沢山苦情が来てるの。それに、みんな恐がって新入居者もなかなか入りたがらないの。」
絶対、あのヤクザのせいだ。
「私もこの間孫が生まれて、来月娘と孫が一緒にこっちで暮らすことになったの。」
「はぁ……。おめでとうございます。」
「菊地さん……美紅ちゃんがいい子なのはわかってる。だけど、生まれたばかりの孫を恐がらせたくないの。」
「はい……。」
ここまで来ると、何を言われるのか見当がつく。
「申し訳ないのだけれど、引っ越してもらえないかしら?」
「…………。」
「ごめんなさい。孫の為なの。承諾してちょうだい。」
そう言って、大家さんは自分の部屋に帰って行った。

