ベラベラと私に説教しているのは担任の中森先生だ。


ポロシャツにジャージ。首から笛をぶらさげて、服の上からでも筋肉のつき方がわかるほどの大きな背中に太い腕。


体育教師かのような体つきと服装のくせして、実は社会科教師。


中年親父で生徒達の間では、バーコードと呼ばれている。



理由は初めてそのあだ名を耳にしてもその由来が何なのか一目瞭然。


中森先生の頭は中途半端に禿げ上がっており、スキャンをすれば読み取りされるのではないかと疑うほどに見事なバーコード柄に仕上がっている。


そこまで禿げてしまったらむしろ全部剃ってしまった方が潔いのではないかと常日頃から感じていることだ。



だが、バーコードなんて付けたやつは、そこそこのバカだと思うのは私だけだろうか。



センスの欠片もない。そして、何よりそのまんまではないか。



こういう類いのあだ名は、だいたい悪口を言うときに誰に聞かれても誰のことか特定出来ないようにするためじゃないのか?


だが、あれでは誰かわかってしまうではないか。


さすがは高校生というべきか。その場のノリと勢いで決めてしまったのだろう。



と、思いつつもなんだかんだ自分もバーコードと呼んでいたりする。