「小娘がいきがってんじゃねーぞ。その気になれば、てめぇなんざどうとでも出来ることを肝に銘じておけ。」
今までの私の悪態への返答とは全く違う、とても低くて冷たい声。
一瞬でもこの人が裏社会の帝王だと忘れていたことを後悔した。
その場で体が硬直し、一瞬で震え上がるには十分だった。
そして、私をすぐに開放すると腰が抜けてその場にへたり込む。
身体の震えを懸命に抑えていると、鉄仮面秘書が私のバッグを拾い上げた。
「……あっ……私のかばんっ!」
中を開けられ取り出されたのは手帳とカメラ。
「ありました。」
「そうか。」
帝王はその場で私を見下ろした。その瞳はとても冷徹なものだった。
「食うか食われるか。てめぇが飛び込んだ世界はそういう世界だ。 少しばかし出来るかもしれねーけど、結局俺の前じゃ無力なんだよ。」
そう言い捨てると、鉄仮面秘書が私のバックを投げ捨てて、帝王と共に雑居ビルから出ていこうとした。

