エンドロール




「私に触んないで!」

すぐにこういうこともあろうかと護身用グッズとして持って歩いていた催涙スプレーを取り出して、男に向かって吹きかけた。

すると、腕を掴んでいた手の力が緩み、振り切る。その隙に、全力でその場から走り去った。


「追え!逃すな!」



だけど、そんなことでは素直に逃がしてくれるはずもなく後ろからそんな声が聞こえて来る。


だけど、怖くて後ろを振り返ることができない。とにかく、できるだけ遠くへ全力で走った。

ただ、後ろから”待て”と数人が追いかけてくる声と足音がこちらにどんどん距離を縮めてきていることはわかった。


途中、段ボールやゴミ箱を倒してまき散らしながら路地裏を抜け、表通りに出て、まだ沢山の人が行き交う繁華街や若い男女や年齢差が感じられる男女達がほとんどであるホテル街、シンと静まる中所々家からの笑い声が聞こえる住宅街を走り抜け、追ってくる男たちを一人、また一人と撒いていく。



そして、取り壊し最中であろう骨組みがむき出しになっている建物がある工事現場を見つけ入り込んだ。