というのは、表向きの顔。



たぶん、お父さんはサラリーマンじゃなかった。


不定期で出張があり、出勤する時間も帰ってくる時間もバラバラ。

本人は、自由度が高い会社だの、仕事が早く終わっただの言っていたが、それだけなら疑わなかっただろう。


ただ、時折怪我して帰ってくることがあり、普通の仕事ではないのだろうと勘づいていた。


お母さんは何か知ってそうだけど、私は敢えて何も聞かなかった。


だけどある日、私は家でお母さんと台所に立ち夕飯を作りながらお父さんの帰りを待っていた。



その日は、お父さんの誕生日でご馳走を作って帰りはまだかと待っていた。


お父さんの大好きな筑前煮や天ぷら等たくさんの料理で出迎えようとお母さんと二人でお父さんの喜ぶ顔を想像しながら張り切って手を進めていた。